学校の化学物質を調査 −宮前ネットニュースNo.104より

シックスクール対策に向けて子どもたちの学校環境を調査しました

校舎の増改築に使われた建材や、教材や掃除用品などに含まれている化学物質により、学校生活の中で子どもたちの健康被害や学習障害が起こる、いわゆる「シックスクール」が社会問題になっています。「学校に行くと頭が痛くなる」という子どもたちの中には、もしかしたら化学物質過敏症(以下、CS)の子どもたちがいるかもしれません。

◆宮前区内の学校に対し環境調査を実施
宮前ネットでは、今年の8月から9月にかけて、宮前区で「学校施設管理に関するアンケート」調査を行いました。地域の小中学校に通う子どもたちの母親や市民の方と、区内にあるすべての公立小・中学校を訪ね、詳しいアンケート調査に協力していただくことができました。
回答によると、24校中23校が教室や体育館にワックスがけをしています。中には化学物質の少ない樹脂ワックスを使用している学校もありましたが、通常のワックスを使い、教師と生徒が手袋やマスクなしで清掃している学校も少なくありません。
また、図工や技術の時間に使われる接着剤やマジックペン、そして学校で印刷されるプリント類のインクにも、多くの化学物質が含まれています。CSに対応した製品もありますが、使用している学校はまだわずかであることもわかりました。

◆誰もが安心して学べる環境づくりを
子どもたちが一日の大半を過ごす学校には、誰もが安心して気持ちよく学習したり友だちと育ちあえる環境づくりの視点が必要と考えます。
ところが、汚れをつきにくくするために使われるワックスには、神経毒性が報告されている有機リン化合物などが含まれており、CSの原因のひとつにあげられています。また、工作や家庭科の時間に、呼吸が苦しくなる子もいます。
教材などの購入にはこれまで入札制度の中でより価格を安く抑えてきた経緯もありますが、子どもの学習を阻害する要因はできるだけ避けるべきです。学校も親たちもCSへの理解を深め、清潔や安全についての認識を考え直す時期に来ています。

◆化学物質をできるだけ取り込まないために
宮前区では2006年4月に(仮称)土橋小学校が新設される予定です。新築の学校では、建材に含まれるホルムアルデヒド・トルエン・キシレンなどの有害化学物質の発散がCSの発症を増やすともいわれています。CSを予防するには、体内に取り込む化学物質を極力減らすことが第一です。
宮前ネットでは、これからも学習会や意見交換を行いながら、シックスクール対策として市民ができることを広げていきます。