台風19号の浸水被害から都市型災害を検証する
2019年10月12日伊豆半島に上陸した台風は各地に広範囲な被害をもたらしました。川崎市でも浸水被害がひろがり、日を追うごとにその被害の実態が明らかになりました。
浸水被害の一つは、亡くなった方もいる多摩川に注ぎ込む平瀬川の逆流による高津区の浸水でした。平瀬川は麻生区に水源を持ち宮前区から高津区を経て多摩川に注ぎます。流域では開発が進み土壌の保水力の低下が懸念されていました。今回の逆流の原因がどこにあるのか検証の結果が待たれるところです。
被害はこの場所にとどまりませんでした。多摩川に雨水等を流す排水樋管の周辺に浸水が起きていました。一番浸水エリアが大きかったのは山王排水樋管がある丸子地区でここは合流式です。さらに少し離れた武蔵小杉駅周辺に内水氾濫を起こし、駅周辺の施設や住宅の地下が浸水し停電断水が発生しました。
樋管の逆流を防ぐゲート操作については改善を求める声がありましたが、改めて検証が待たれます。川崎市の下水道は中原の一部、幸区、川崎区は合流式で大量の雨が降るとオーバーフローを起こし汚水が多摩川に流れ込むことが課題でしたが、今回多摩川の水位上昇による内水氾濫となりました。
しかし分流式の地区でも4つの排水樋管の周辺で浸水がおこり、市民生活や工場、福祉施設など浸水がおきました。福祉施設では、浸水後から通所が休業しているため特に施設が少ない障害者が自宅待機を余儀なくされ、対策が急がれます。
今後に向けて浸水対策としては、首都圏外郭放水路のような巨大な施設の建設は容易ではありません。今回明らかになった避難のあり方、多くの市民が殺到して移動を余儀なくされた避難所、治水や浸水による電気系統の故障による市民生活への支障などの課題を整理して、災害への備えとして提案していきます。